パラレル・スクワット

パラレル・スクワットは、フィットネスで最も代表的なエクササイズのうちのひとつです。私達人間は、生きている以上、歩行をしていく必要があります。その初めの第一歩が、「立ち上がり動作」で、その動きのメカニズムが、スクワットというエクササイズに代替されます。椅子から立ち上がる時、ベットや床から立ち上がる時、またトイレで便座から立ち上がる時、大腿四頭筋という太ももの前側の大きな筋肉を主働として、自身の身体を持ち上げます。

スクワットといっても様々な種類がありますが、トレーナーとして個人的に気を付けている事は、「ガチガチに制限したパラレル・スクワットを全ての人に押し付けない」ということです。一般的にスクワットといえば、パラレル・スクワット(横から観て太ももが床と平行になるまでしゃがみ込む)が推奨されています。それは膝角度の基準(目安)がそこにあり、大腿四頭筋や大殿筋(お尻の筋肉)にかかる負荷の効率性が良いからだと言われています。(注:現在でも専門家の間で意見が分かれています。)フィットネスの専門書や、専門学校の教科書にもパラレル・スクワットが写真で掲載され、あたかもこれがスクワットの基本であるかのような傾向がありますね。私も某フィットネスクラブに入社した際、パラレル・スクワットが基本でこれを正しいフォームで何百回とやらされました。また正しいフォームと適切な重り(ダンベル、バーベルをを担ぐ場合)を使用すれば、傷害は発生しないと教わりました。しかし本当にそうでしょうか?

私の答えは「NO」です。いくら正しいフォームで、適切な重りを使用しても、人によっては、パラレル・スクワットで傷害を発生させてしまう事はあります。なぜなら、人にはそれぞれ、柔軟性や骨組みに違いがあり、結果として、同じ動きにも関わらずバランスを崩してしまうことが起こるからです。

フィットネスクラブで運動をした経験がある人ならよくご存知だとは思いますが、よく、トレーナーが、「横から観た時に両膝が足のつま先から出ないようにしゃがんでいってください」と案内しますが、これは正解です。前がかりな姿勢になると、膝関節の前部に重量がかかりやすくなり、関節炎等の傷害発生率が高くなるからです。しかし膝の位置をつま先手前で固定したところで、負担がかかる関節は膝だけではありません。足関節、股関節、腰椎の堆間板、胸椎の堆間板などにも少なからず影響が出るはずです。これらの箇所に炎症や神経根圧迫痛が引き起こされることもあるはずです。(パラレルスクワットをすることにより、)どのような人に、こういう傷害が起こりやすいのでしょうか?

具体例を挙げると(私の場合もそうなのですが、)、---骨盤が後傾しやすい(または前傾しにくい)

                              ---ハムストリングス(太ももの裏側の筋肉)が硬い

                              ---胸椎の後湾が強い(いわゆる猫背)

                              ---腰椎の自然なカーブがフラット(平ら)

                              ---両足のかかとを地面につけ、しゃがみこむと後ろに倒れそうになる

等です。 前述したように、私が新米トレーナーのころ、先輩トレーナーにパラレルスクワットを押し付けられ、何百回と練習しましたが、足関節(足首)に圧迫感を感じたり、腰部に負担を感じたり、あるいは膝に負担を感じたり・・・。また、スクワットの効果としてもイマイチで、バーベル(重り)を首の後ろに担いで行うバックスクワットでは、後ろに倒れそうになるので、どうしても前屈みになってしまうのです。そうすると、ターゲットマッスル(主働筋)である大腿四頭筋に筋肉痛は無く、ハムストリングスに筋肉痛が発生する有り様・・・。本当に最悪でした・・・。周りに、私の身体の特徴を見抜いて、違った種類のスクワットを推奨してくれるような先輩トレーナーがいなかったのは寂しい限りです・・・。

  結局、私は自分の骨組みや姿勢、各関節や全身の柔軟性、バランスを見直し、自分に適応したスクワットをするようになりました。以下、改良点を記すと、

        ① スクワットをする前に、ハムストリングスや大殿筋をよくストレッチしておく。

        ② 足関節に負担がかからないように、踵にプレート(厚さ3,4cm位)を敷く(後転倒を防ぐ効果も)。

        ③ 重りは首の後ろ(肩に担ぐの)ではなく、前部(フロントスクワットの姿勢)で保持し、行う。

        ④ 重り(ダンベル、バーベル)を使用しない場合は、両腕を前方に出し、バランスをとる。

   そして ⑤ パラレルではなく、ハーフスクワット(膝角度45度)、もしくはスリークウォーター(60~75度)スクワットで行う

こうする事で、スクワットのフォームでの窮屈感、各関節の圧迫感を取り除き、ターゲットマッスルである、大腿四頭筋、大殿筋に確実に刺激を与えることができるようになりました 

                

                       

   他にも、足幅を肩幅以上に開く(ワイドスタンス・スクワット)や、両足を外側に向けた状態(いわゆるガニ股)で行う・・・等、その時のコンディションによって使い分けています。ちなみに、膝の角度で分類するのであれば、 (横から観た時、立位の膝角度が、0度として)、パーシャルスクワット(膝角度0~30度、シャロースクワット、クウォータースクワットとも言います)、ハーフスクワット(膝角度30~45度)、スリークウォーター(4分の3の意味)スクワット(膝角度60~70度)、パラレルスクワット(膝角度90度)、ディープもしくはフルシットスクワット(膝角度125度)です。                                                                                                                                                                                                        

                                                                    

大女優、M・M子さんが、健康維持のためにされているのが、パーシャルスクワットですね。女性(特に年配の方)には、これでも効果はあります。お腹が出ている中年肥りの男性には、股関節に負担がかからず、お腹が邪魔にならないよう、足のつま先を外側に向け、ワイドタンス(歩幅を肩幅以上)でのハーフスクワットがいいでしょう。 長身で猫背の青年は、なるべく胸を張り、重りを担ぐのであれば、ダンベルやバーベルは、前部(フロント)で保持し、スリークウォータースクワットにチャレンジしてみては?また、人によってはスクワットをする以前に自身の姿勢やバランス、骨組みや柔軟性をもっと理解しておくべきでしょう。それによって、何種類もある様々なスクワットは、使い分けられるはずです。必ずしも、パラレルスクワットが基本ではないと思います。そもそも、窮屈で圧迫感のある姿勢を保持したままのエクササイズは傷害のもとです。我々トレーナーは、教科書や参考書を鵜呑みに理解してはいけない(否定するわけではありませんが)と思います。                      
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